カフェモカです!
この記事は、前回の続きで、実際に曲をツールで調査してみて対策を立ててみることをやってみようと思います。
前回の記事↓
※実践編も長くなってしまいそうなので、複数回に分けて解説していきたいと思います(;^_^A
比較する曲を紹介
何回も恐縮ですが、自分の曲の中から2曲を選んで比較したいと思います。
【重音テト】歌声に導かれて / Lead by Songs 【オリジナル】
2019年4月投稿
今回、サウンドが厚い曲の例として挙げます。本当に分厚いかどうかはともかく、薄くはないということは聞いていただければわかると思います。
一応、自分が公開している曲の中では一番最近の物なので、これがダメなら全部だめだよね(;^_^A
YOMOTSUHIRASAKA /ヨモツヒラサカ feat. MIKU HATSUNE
2018年2月(YouTubeには3月1日)投稿
自分のオリジナル曲としては一番古い曲です。EDMを作ろうとして作ったはずなんだけど、なんかやたらに軽いノリですね(;^_^A
こちらの曲が、薄いサウンドの例になります。
ということで、この二つの曲を比較して、どこを補えばよいのか検討していこうと思います。
実際にサウンドを比較してみる
では実際にツールを使ってサウンドを見てみましょう。
使うツールは、
・スペクトラムアナライザー(スペアナ)・・・左
・フェーズメーター・・・右
です。どちらもDAW付属の物ですが、これで十分というか、かなり秀逸なので有料プラグインも持っていますが、この2つは未だに最前線で活躍しています。
まず、YOMOTSUHIRASAKAから。こんな感じです。
次、歌声に導かれて。ぱっと見で違いがありますね。
ここで注目したいのは、スペアナの100-200Hz付近です。「YOMOTSUHIRASAKA」は明らかに凹んでいます。一方「歌声に導かれて」は膨らんでいます。これはたまたまではなく、ここが充実するように意図してサウンドを補強しています。音階的にはG1~G2になり、主にキック、ベースラインです。
もう一つ注目したいのは、スペアナのギザギザ具合です。 「YOMOTSUHIRASAKA」の方が大きいのですが、これは単音が目立っているからなんですね。一方 「歌声に導かれて」 は大きく目立つピークが見当たりません。
全体的な音の強度つまり波形の高さを比べると、低域は「歌声に導かれて」 が大きいですが、高域はむしろ 「YOMOTSUHIRASAKA」 の方が大きいです。にもかかわらず、音の厚みでは 「歌声に導かれて」 が圧倒的に上です。
これは、 「歌声に導かれて」 が等ラウドネス曲線に沿うように音のバランスをそろえているからです。 「YOMOTSUHIRASAKA」 は特定の音は大きいのですが、逆にその音ばかりが目立って、後ろの音が聞こえにくくなってしまい、聴感上は音がスカスカに聞こえています。
最後に、フェイズメーターを見ると、これはもう一目瞭然ですね。
「YOMOTSUHIRASAKA」は音が真ん中に集まる傾向があり、 「歌声に導かれて」 は全体に広がっています。これは、 「歌声に導かれて」の方は あらかじめ広がる音を入れて、定位をかなり慎重に合わせているからです。
2曲間で大きく違う部分をまとめると・・・
ということで、2曲間で差が出たところを基に、薄いサウンドの原因をまとめると、
・ 100-200Hz付近の音が少ない
・単体の音が目立ちすぎている
・サウンドの広がりが少ない
ということが分かります。つまり上記部分を補強すれば、厚みのあるサウンドになるって事です。
その為にどうすればよいかを列挙しますと(これは前回の記事でも書きましたが)、
・ 低音(100Hz~200Hz) を強化する
・広がりのあるサウンドを取り入れる
・サウンドをレイヤーする
・倍音を付与する
ということになります。
なんか、余計なものが対策として入っていますが、その辺も含めて解説していこうと思います。
サウンドを厚くする方法
・ 倍音を付与する
まずここから解説していきます。
シンセなど、太いと言われるサウンドをスペアナで見てみると一目両全ですが、本来の音(基音)以外にも音がいっぱい出ています。
こんな感じです。これはA1(ラの音)をシンセで弾いてます。一番左の音が叩いた鍵盤の音ですが、弾いていないにもかかわらず高周波成分がずらっと並んでいます。これが倍音です。二倍から高周波領域は数十倍音まで出ています。
倍音を付与すると何が起きるかというと・・・
聴感上は音が大きくなります。また、倍音が強化されることによって埋もれにくい音になります(音が前に出てくる)。
ところで、プロが曲を作る場合、何をするかご存知でしょうか?
意外に見落とされがちかもしれませんが「レーコーディングスタジオで収録する」です。
レコーディングスタジオには、収録した各楽器の音をまとめる「ミキシングコンソール」という機材があります。
こんなやつですね。で、この機材で曲をまとめるとどうなるか?
「特に何にもしなくても、倍音が強化される」んですよ。確実に。
これは、アナログ機材の特性みたいなもので、機材特有の癖みたいなものが必ず付与されているんです。つまり、世の中のプロがリリースしている曲はほぼ100%倍音が付与され、強化されています。
コンソールで倍音が強化された上に、さらにEQやコンプレッサーで強化していくのですから、そりゃあ最強なサウンドになるに決まっています。
それを、特に何にもしていないサウンドと比べたら、違って聞こえて当然ですよね。
なので、音を太くしたかったら、まず倍音を付与することを考えなければなりません。
DAWで曲を作っている以上、ハードウェアに頼ることは(アナログ機材を持っていれば別ですが)できないので、プラグインを使います。
「エンハンサー」あるいは「エキサイター」と呼ばれるプラグインが、一般には倍音を付与するプラグインです。
使い方はどれも似たようなもので、トラックに挿してダイアルを回すだけですw
これで倍音が強化され、聴感上は音が大きくなります。
今回は、自分が持っているプラグインを順番に紹介していきたいと思います。
・「エンハンサー」「エキサイター」
Bark of Dog2 (Boz Digital Labs)
トップバッターは「低音用エンハンサー」ですw
何でこれを最初に挙げたかというと、「無料だから」ですw
低音域と紹介しましたが、最低10Hz~最高2000Hzまでを強化できるので、かなり汎用性が高いです。
こいつはやばいですw こんなの無料配布しちゃっていいの?ていうくらい使えるプラグインです。
「Littele Labs Voice of God」(UAD)
こちらは本当に低域専用です。UADなので、それなりのお値段します。ですが超使えます。マイルドにかけることも、アグレッシブにかけることもできるので、ボーカルの低音域を補強したり、あるいはキックを強化したりと、低音域なら何でも使えます。
「Renaissance Bass」(waves)
wavesの低音強化プラグインと言ったらこれ、みたいなプラグインですね。
掛かり方は今まで挙げた中では一番アグレッシブに掛かります。マックスまでかけることはまずないでしょうw うっすらと掛けても十分な効果があります。
自分は最近あまり使わなくなりましたが(;^_^A
「AXOX4 WARM」(Antares)
低音域用じゃない、一般のエンハンサーも紹介します。別に低音域に使っても良いと思うけど。エンハンサーは全般的に見て、割とお値段高めのプラグインかな~と思っていたんだけど、今見たら安くなってますね(;^_^A
これ、単体なら$69だそうです。
以前と比べたら安いw
主にボーカル用に使います。ウチのミクさんには必ず使ってます。
マイルドにかけるモードとえげつなく歪ませるモードがあって、使い勝手は割と良いかなと。
「OXFORD INFLATOR」(Sonnox)
こちらも汎用型のエンハンサーです。音を歪ませることなくクリアに倍音を付与してくれます。自分は楽器全般に使うことが多いですが、ボーカルにももちろん使います。
「Vitamin」(waves)
上二つのエンハンサーと違って、これは倍音を付与する帯域を選択することができます。個別のトラックに使うよりは、マスタートラックに対して使うことを想定して作られているようです。
が、自分は最近はこいつをあまり使いません。挿しただけで音が変わっちゃうので(;^_^A
なので、音が変わることを想定している場合のみ使用します。
毎度のことなんですが、倍音の話だけで長くなってしまいました(;^_^A
いったんここで区切って、続きは次回にしたいと思います。
まあ、倍音付与だけでもサウンドはかなり変わるので、全トラック倍音付与してみたらいいと思いますよw 自分はそんなことしないけど(;^_^A
ということで今回はここまで。
それでは!
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