カフェモカです!
先日、ツイッター上でちょっと話題になりました「初音ミクUTAU化計画」について、私見を述べさせていただきたいと思います。この件について今回自分としては「UTAU化はダメ」というスタンスを取っています。しかしながら、UTAU上で初音ミクを歌わせたいという望みは少なからずあるようだということを実感しました。ですので、今一度自分の中で整理してみようと思い、ここに記事を書いた次第です。
目次
UTAUって何だい?
UTAUとは「歌声合成ソフト 」です。
現在市販されている音声合成ソフトウェアの代表はVOCALOIDですね。他にCeVIOなどもあります。
UTAUの最大の特徴は、「フリーウェアである」ということです(寄付は受け付けてます。カフェモカは寄付してシェア版として使っています)。
VOCALOIDでは、初音ミクが有名ですが、UTAUで有名なのは何と言っても重音テトでしょう。これがフリーで使えてしまうんですから、神ツールと言っても過言ではありません。
手前味噌で恐縮ですが、自分の楽曲を紹介します。
こちらは、冒頭部分のUTAUデータ。こんな感じで人間が歌うような滑らかさで歌わせることが可能です。
これらのデータですが、音声のモデルとなる人がいて、声を一つ一つ録音してデータライブラリーとして使っています。
この音声データを組みあわせて歌声としてまとめ、あたかも人が歌っているようにするためのツールがUTAUというソフトウェアなのです。
じゃあ、初音ミクの声を録音して、UTAUで使ってもいいの?
ここが、今回の議題でもあるのですが、声の品質がどうかは定かではありませんが、技術的には可能ということになります。
しかし、UTAUに音声を乗せ換えるという行為が「規約上許される行為なのかどうか?」は、現状グレーです。
そして、UTAUのデータは原則フリーで公開されていますが、「初音ミクの音声データを再配布していいの?」という問題も起きてきます。
実は、先日ツイッター上でこの問題がずいぶんと議論されました。幸か不幸か、自分がその当事者の一人になってしまったわけですが(;^_^A、初音ミクUTAU化の推進派、反対派の考えをそれぞれまとめてみたいと思います。
※当該スレッドは、個人的な意見もだいぶ含まれていますので、明かすことは致しません。ここに記述する内容は可能な限りスレッドに書かれた事実を反映しますが、表現等は異なっていることはご了承ください。
推進派の意見
・UTAUは音声を組み合わせる「サンプラー」であるのだから、ライセンス許諾を得ているユーザーなら音声の使用は自由に行えるはず。
・初音ミクの音声(歌声)の再配布は、使用者であれば許可を特にとる必要もなく認められている。ならば、UTAU用の音声データも同様に認められるはずだ。
反対派(カフェモカ)の意見
・初音ミクの音声データをUTAUに使用することは、初音ミクの複製を作ることであって、これは規約に違反している。なので、再配布はもちろんの事、UTAUのデータとしての音声使用もダメ。
そもそも何でUTAUを使いたいの?
そもそも何でUTAUで初音ミクを歌わせたいのか?という背景に、「VOCALOIDのパラメータ調整はやりにくい」という問題があることは指摘したいと思います。これは、UTAU移植はダメと言っている自分も、わかるんですよ。
テトさんはめちゃくちゃいい声で、しかも人間ぽく歌ってくれますから。
自分は初音ミクから入って、エディターは「ピアプロスタジオ」をメインに使っているので、初音ミクをUTAUで使いたいなんて1ミリも思ってはいないのですが、UTAUから入った人は「UTAUで出来てボカロエディターで出来ない、もしくはやりにくい」というもどかしさを感じているのではとは思います。
なので、UTAUの熟練者であればあるほど、自分の使い慣れた環境でボーカロイドも使いたい、そう思う気持ちはあるんだろうな、そこは何となく理解はできます。
UTAU化で問題となること・・・海賊版の流布
しかし初音ミクをはじめとするVOCALOIDは、、YAMAHA、クリプトンなどの各メーカーが声優さんにお願いして、開発費を投じて制作された商品なわけです。それを安易にUTAUに移植してしまったら、無料で使える初音ミクが誕生してしまいます。
インターネット全盛の現代社会では、容易にデータは流布してしまうでしょう。
これは明らかに企業に対しては営業妨害行為であって、見逃せない状況であることは容易に想像がつくかと思います。
このような行為が起こってしまったら、音声データの取り扱いがより厳しくなり、ボーカロイドを使っての楽曲制作自体にも規制がかかるようになってしまうかもしれません。
現在の、「ボーカロイドによる自由な創作文化」は企業側がクリエイターに使いやすいように、比較的緩い規制でツールを提供してくれているという背景があります。そしてユーザー側もきちんとモラルを維持して使っているから、現在の自由な風潮が成り立っているのです。
一度この状況が崩れてしまったならば、ユーザー側にはより厳しいライセンス順守義務が課せられ、より窮屈で不自由な環境に向かってしまうかもしれないのです。
規約にはどう書いてあるの?
そもそも規約にはUTAUを名指しして「ダメ」みたいなことは書いてありません。もちろんソフト自体の再配布は禁止ですが、音声データは再配布を認められています。なので、ここをどう解釈するか、それによって「ダメとは書いていない」→「問題ない」という風にも取れてしまうのです。
※追記:現行の規約では「出力された音声を音源データとして再利用する」という使用方法を想定していないと思われます。ですので如何様にも解釈出来てしまうというのが現状で、最終的には各メーカーの判断に委ねられるという状況です。
クリプトンが公開している、初音ミクの使用許諾はこちら
クリエイターには自制心を(希望)
そもそもクリエイターなんて自我の塊みたいなものなので、こう書くこともどうかなとは思うんですが、こう書くしかないので(;^_^A
現在ボーカロイドの楽曲は数多く存在していて、名曲、神曲と言われるものもたくさんあります。それらの曲は全て、ボーカロイドエディター、ピアプロスタジオという公式のツールで描かれたものです。
公式のツールで、名曲は書けますよ!
なので、現在の環境はクリエイターにとって十分なはずです。それをUTAUにしないと出来ないということはないはず。
ここはクリエイターさんには、よくよく考えてもらいたいです。
今回は、ネット上で自分が関わって起きた議論を基に記事を書きましたが、自分が望むことは、今の自由な創作環境が今後も続いてくれることです。そのためにはモラルをもって、活動をしていきたいなとそう思ってまとめたいと思います。
※この問題はクリプトンに問い合わせています。ですので、公式な見解が出たら続報を書きたいと思います。
それでは!
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