トーマ

謎多きボカロ曲「オレンジ」の歌詞を解釈してみる

カフェモカです!

今回は曲の紹介と解釈です。

【初音ミク】オレンジ【オリジナル曲】[Hatsune Miku]

投稿日:2012年12月20日

曲/詩:トーマ

歌詞はこちら(アットウィキ)

ニコニコ動画版↓

 

謎多きボカロ曲「オレンジ」の歌詞を解釈してみる

この曲は、様々な解釈が存在しています。

いくつか紹介しますと、

・ 双子説

・多重人格説

・ドッペルゲンガー説

・理想の自分と現実の自分説

とまあ、どれもうなずけるんですよ。

ここでは既存の説はとりあえず置いといて、

今まではずっと一緒だったものが、一緒ではいられなくなる状況、その一点のみに着目してみたいなと。

とまあ、そんな感じで曲の解釈やってみます(;^_^A

ボカロ曲「オレンジ」の曲解釈に先立つ前提

いきなりですが、曲の解釈はあくまでも聞いた人の数だけ存在するのであって、これが真実でも、正解でもないってことは最初に確認しておこうと思います。

あくまでも多様性の中の一つの選択肢を示すに過ぎないってことですね。

そのうえで、自分なりの解釈を行うにあたって前提条件というか縛りを付けたいなと思います。

解釈する範囲は曲そのものとPVだけ

曲の世界観って、本来は曲そのものを超えて作者の考え方だったり、公式サイトの挿絵にヒントがあったり、或いは作者のちょっとした一言だったりすらも手掛かりにはなるんですが、いかんせん昔の曲なのでそこまで追い切れない(;^_^A

ですので、曲そのものとPVを見ただけでの解釈となります。

もうすでに、多重人格とか、双子とかっていう解釈が存在しているので、特定の解釈を支持する内容にしても面白くないので、事象のみを追いかけて見たらどんな解釈ができるのか、そこいらへんにチャレンジしたいと思います。

最初の謎はタイトルの「オレンジ」

いきなり謎なんですが、タイトルがなんで「オレンジ」なんでしょうね。

曲の内容的には、オレンジは全く出てこない。何かを比喩しているのだとは思うんだけど…

取り敢えずこれは置いておいて、曲の解釈を進めてみましょうか。

PVでは登場人物は2人います。黒いワンピースの少女と白いワンピースの少女。

顔は瓜二つ。

これが二重人格説、双子説の根拠になっていると思いますが、ここには言及しません。このPVからは、双子か、2重人格かを決める根拠が見つからないので・・・。

舞台は三日月島。冒頭のイラストでは、小さな小さな島で教会しかありませんが、これはデフォルメだろうと想像。曲中では線路があり、どうやらバスも走っているようですからw

もっとも、現実世界の話ではないかもしれないので、電車もバスも単なる表現の一部でしかないかもしれないんですが。

「 君のいる世界で笑ったこと、君の見る未来を恨んだこと、君の声、温もり、態度、愛のすべてが・・・ 」

冒頭と最後に出てくるフレーズ。

2人は既に別れてしまって、どちらかの一人が相手である「君」を想い回顧しているのだと思います。

どちらが歌い手なのかはわかりませんが、ここでは仮に「白が黒を想って歌っている」とします。

「 海街、赤錆びた線路沿い 二人、「幸せだ」って嘘ついて くしゃくしゃに笑う顔、繋いだ手 遠くの島、朝焼け 」

別れ直前の情景を歌っているように思いますが、この「朝焼け」っていうのがキーワードなんじゃないかなと思っていて、朝焼けっていうのは、新しい1日が始まることの象徴なんですが、幸せが嘘だと言っているあたり、もう二人一緒の明日は来ないことを解っている悲しみが籠ったフレーズなんじゃないかと。

「 愛しきれない君のこと、つられて泣く私も弱いこと、代わりなんてないって、特別だって 許し合えた日も 」

線路に掛かっているようにも思えます。特別で変わりなんてないって言いつつも、愛しきれない。つかず離れずでずっと続いてきた関係。

「 もう二人に明日がないことも ただ、ずっと。そう、ずっと隠してしまおう 残される君に届く ただひとつを 今でも、探してる。 」

ここで「二人に明日がない」ことが明確になったのですが、「隠してしまおう」は「嘘ついて」に掛かっているのかなと思います。つかず離れずの関係を続けてきたけど、本当は伝えたかった、君に届けたかった「ただ一つ」のことがある、それをどうしようか考えている(探してる)。もう伝えようがないんだけど。

「 「元気でいますか。」「笑顔は枯れてませんか。」 「他の誰かを深く深く、愛せていますか。」 ずっと来るはずない君との日を願ったこと 鍵かけて。 」

本当はこういった言葉じゃない「ただ一つ」を言いたいんだけど、それは鍵をかけて封印してしまった。もう会うことが出来ないから。

「 三日月島、陰る渚鳥 ツタに飾られた教会裏で また子供じみた約束しては 逃げ出す話をしよう。 」

「渚鳥」は本当は「すどり」と読むらしいのですが、ここでは語呂の都合上「なぎさどり」なんだと思います。シギやチドリなど、水辺の鳥のことらしいです。いずれにせよ日が暮れる情景を表しているのでしょう。上の解説で、朝焼けが新しい1日が始まる象徴と言いましたが、それ以前の過去を表しているのだと思います。

「 誰も満たされないよりも 望んだ最後だけを温める 怖い夢を見ただけの私に そうであったように。 」

先に出ていた「逃げ出す話」に掛かっているのだと思います。「望んだ最後」=「ずっと一緒にいる」を実現できないものかと夢見ている。現実の事は、怖い夢だったで済めばいいのにって思っている。

「 許すだけでも、耐え抜くだけでも ただ、きっと。そう、きっと 誰も変われないこと。傷付けない弱さが生きられないほど 大きく育ったの。 」

ここは解釈が難しい(解釈の分岐がある)のですが、ここは「傷付けない弱さが生きられないほど」、強い感情が(あるいは自分自身が)成長してしまったと解釈しました。

「 覚えていますか、初めて会ったことも、君の嘘も、甘えも、弱さも、流してゆくような この朝焼けで あの日のように君はまた 素敵に変わってゆく 」

来ました、「朝焼け」です。ここで新しい1日すなわち、全てが変わってしまったことを表していると思います。

ここで気になったのですが、「あの日のように君はまた素敵に変わってゆく」とありますね。えっ?これまでのキミは素敵じゃなかったってことなの?

つまり、歌い手の主人公は、「朝焼け」のタイミングでこれまでの平行線なつかず離れずの関係を全て断ち切って、理想を求めることを目指したともとれます。

象徴的なのは、この時の背景のイラストですね。教会も何もかもが壊れてしまって、がれきの中に2人が立っている。

全てを壊してしまって、最初からやり直せないだろうかと考えたのでしょうか?

「 愛を歌った 大地を蹴った 今、「最低だ」って殺した最後も 不完全だって不確かになって ほら蹴っ飛ばして、ないや。 」

「殺した」を言葉通りにとらえるかどうかなんですが、ここを言葉通りにとらえると、愛しすぎるがゆえに殺してしまった「ホスト殺人事件」になってしまうのですが、この線もアリですが違う路線での解釈を目指します(;^_^A

どちらかというと「最初は理想的だと思ったのに、いつの間にか平行線」の関係に終止符を打ちたい、というか打たざるを得ない状況に陥ってしまったという方が近いかなと。

殺したではなく、色々なものを断ち切る瞬間が来たということなんだろうと。

「大地を蹴った」が気になるところではあるのですが・・・大地を蹴った=地を離れ天に召された、とも解釈できるので。

ただ、大地を蹴ったが自らの行動だとしたら、自ら別れる決断をしたという解釈もできます。どちらかというと「自ら別れる」決断という解釈の方が、自分的にはしっくりくるかな?

いずれにせよ二人の関係は断ち切れ、すべてが過去のものになって、不完全になって、そして無くなってしまった。

「 歳月が巡って 声を辿って また生まれ変わったら 真っ先に君に会いに行こう。 」

声を辿って・・・もう肉体が失われてしまったその後にということなんでしょうか?

「 愛していました。 最後まで、この日まで。 それでも終わりにするのは私なのですか、 君の幸せな未来を、ただ、願ってる。 」

「愛していました」と「愛しています」ではないところが、既に過去になってしまったことを表しています。「終わりにするのは私」と言ってしまっているのが、殺人事件説を否定しきれない部分ではあるのですが、関係を断ち切るという決断をする、という意味でここでは解釈していきたいと思います。

「 君のいる世界で笑ったこと、 君の見る未来を恨んだこと、 君の声、温もり、態度、愛のすべてに 」

冒頭のフレーズを全く同じように繰り返しています。君のことを今でも思い続けている。ただ一つ違うのは、

「さよなら。」

やっぱり謎なのはタイトルの「オレンジ」

結局オレンジが何なのかは明確にはなりませんでしたが、この歌の象徴的な言葉「朝焼け」の中に浮かぶ太陽をオレンジに例えたのかな?そんな気がします。

てか、それ以外に当てはまりそうなものが思いつかない。

いかがでしたでしょうか?

なんか、殺人事件説を濃厚にしてしまいましたが、そうともとれるし、そうじゃないとも取れます。

過去との関係が切れてしまった現在、過去を回顧する歌ということは言えそうです。

変化したのは白、だと思う(わかんないけど)

冒頭で、「白が黒を想って歌った」としましたが、その根拠は、最後まで歌の世界にいたのが黒ちゃんだから、です。

ちょっとややこしくなりますが、変化を望み変わっていったのは白で、「大地を蹴った」そして世界を離れたのは白。一方の黒は最初から最後まで変わらなかった。もしお互いが変わっていたら、望んでいた事になれたかもしれないのですが、そうはならなかった。

黒ちゃんは、ずっと一緒にいられると思って、白ちゃんにベールをかけて結婚式を挙げたつもりでいた。でも白ちゃんは残らなかった。

自分はこのように解釈しました。

この曲は様々な解釈ができる曲ですので、是非自分なりの解釈を見つけてみたらいかがでしょうか?

それでは!

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コメント

    • 宇佐美うさぽん
    • 2020年 8月 18日

    私も同じ解釈をしていました
    やはりオレンジ=朝焼け(又は陰る渚鳥=夕焼け)かと思います
    ただ、マイナス思考の私には白ちゃんの自殺歌かと思っておりました
    死者からの物言わぬ心かなぁと…笑
    この曲は沢山解釈ができてステキです
    きっと”現状の自分”に当てはまる様に考えられているのだろうなぁと思います(*´°ω°`*)

    • 風香
    • 2021年 9月 20日

    オレンジ、は朝焼けのオレンジ色のことなのかなぁと、私は解釈しています。

    ・白ちゃんと黒ちゃんはかなり仲が良く、いろんなことを頼めるくらいだった
    ・ある日、その、生きるのが嫌になった”君”(白ちゃんか黒ちゃんかわからないのでそう行っておきます)が、”私”に、「殺して」と頼んだ(「それでも終わりにするのは私なのですか」)
    ・けれど、愛していたからそんなつらいこと(自分残るし)できるはずがないと、最後の「君のいる世界で笑ったこと、 君の見る未来を恨んだこと、 君の声、温もり、態度、愛のすべてに さよなら」で、たぶん”私”が自殺
    ・一連の歌詞は、残された”君”への天国からのメッセージだった

    と、私は解釈しています。

    深い解釈で、なるほどなるほどと頷いておりました。
    素敵な曲ですよね(^^)

    • 砂漠
    • 2022年 1月 31日

    ほんとどうでもいいんですけどこの最初と最後に同じ音やフレーズを持ってくる技法を隔語句反復法っていうらしいですね
    最も強調したいところがここだって言うことはよくわかります。

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